タイトル

鉄道の現場を染めるもの

 かつて鉄道の現場というものは、硬派で体育会系の現場でした。列車の運行の安全を守るためには、規律とか執務の厳正とかが必要なわけで、軍隊調とまでは言わないものの、ちょっとそれに似た雰囲気がありました。それと労働運動も猛々しかった。24時間とか48時間とか時には72時間とか電車を止めてストライキを打ったものですよ、昭和の時代にはね。国民春闘だぁ、我々が全国労働者の闘いの旗頭なのだぁ、ってね。
 でも、始終リキ入ってたわけでもないんですけど。そこはそれ人間だから。鉄道員だって遊ぶ時は遊んだ。酒飲みも多かったね、酔って暴れたりとかも。荒くれ男たちの、鉄と汗の臭いのする現場だったわけですよ。
 ところが、賃金と労働条件の改善に伴い、次第に闘いの手をゆるめるようになり、労使協調なんていう知ったふうな言葉が横行するようになり、春闘は形骸化し、労働組合も無力化して行った。時代の流れと申しましょうか。鉄道員もおとなしく上品になってきたわけですよ。

 そして時は平成。鉄道員が熱く燃えていた時代を知らない若い人たちは、燃える代わりに「萌え〜」とか口走って、アニメだとかゲーム、美少女フィギュアに魅入っている。鉄道員がだぜ? こんな軟派なことで列車が正常に走るのかよ。
 人々の生命財産を運ぶ鉄道員が、ひとたび制服を脱ぐと、アニメオタクに変身し、あまつさえメイドカフェ通いなどしてるなんて知ったら、お客さんたちは、安心して列車に乗れるでしょうか。あなた、乗れます?
 でもね、オタク文化なるものは、日本国内のみならず世界をもすごい勢いで席巻しつつある。資本家たちが権力で社会を制しようとしている陰で、オタク文化はマルチメディアと電脳のパワーですさまじいネットワークを築き、別次元の社会を構築してしまっている。鉄道の現場も、この大きな波から逃れることはできなかったわけですよ。
 そしてオタク文化への造詣を深めて行くと、鉄道の新たなかたち、新たな利用法が見えてきたりします。旅行と通勤の手段としては、モータリゼーションに大きく水をあけられましたが、交通と情報のネットワークとして捉えると、車社会に真似できないすごい使い道が見えてきます。
 鉄道会社はまだまだこのことに気づいていませんけどね。オタクたちはちゃんと知っています。知っていて、どんどん浸食しているのですよ。恐ろしいですね。

 筆者は、この道○十年の現職鉄道員です。雨の日も風の日も雪の日も、列車を走らせてきました。であると同時に同じ歳月をアニオタ(アニメを嗜好する清く正しい人)として歩んできました。「うる星やつら」世代ですよ、あたしゃ。同人誌もフィギュアもコスプレもそして近年はメイドさんも、オタク街道に列するものはおおよそ舐めてまいりました。
 鉄の臭いのキツい頃から比べると、今の職場はオタクも住みやすくなりましたよ、ハイ。そんな筆者がですね、鉄道の現場の裏表と、そこで繰り広げられる喜怒哀楽について、つらつらと語ってみようかと、そう思うわけですよ。
 みなさん、お乗り遅れないよう、よろしくお願い申し上げます。
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