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赤ちゃん置き去り事件

 若い女性客が、えらい剣幕で乗務員室(車掌台)に向かって来ました。どうしたのかと思えば、ベビーカーに乗せた乳幼児をホームに置き去りにしたというのです。大変なことです。
 状況はこうでした。前の駅で降りようとして、先にベビーカーをホームに降ろしてから車内に戻り、子供の服とかをたたんでいたらドアが閉まって列車が発車してしまったというんですね。
 「まだ降りてないのに、ドアを閉めるなんて信じられない! 仕事やる気あるの?」と彼女はすごく怒ってます。「どうするつもりなんですか」
 筆者は、返事もせずに乗務員室のドアを閉めると、列車無線で運転指令に連絡し、ホーム上のベビーカーの保護を依頼しました。ベビーカーにはご存知のように車輪が付いているので、風か何かで転がり出しそのまま線路に転落したら、乗っている乳幼児は命の危険にさらされます。
 さいわい赤ちゃんは無事でしたが、最悪の事態を考えると生きた心地もしませんでした。
 運転指令とのやりとりを終えると、筆者は乗務員室のドアを開け、そのブチキレてるお母さんに逆に説教を始めましたよ。「車掌が悪いとかそんなことはどうでもいい。怪我するのはあなたの子供です。母親なら子供の命を守って下さい。悪いのは車掌だからといっても、取り返しのつかないことになったら子供は帰って来ませんよ。扉が閉まります、と言ったら急いで子供のところへ行って下さい。たとえあなたがドアに挟まれても、子供を守って下さい」
 ベビーカーをホーム出しておけば、自分が車内にもどって持ち物の整理をしていても、車掌はドアを閉めないだろう、そんな考えは間違っています。身勝手が過ぎます。何よりも、そのベビーカーが車掌から見えているとは限らないのです。ホームには障害物もあれば旅客もいる、ホーム自体がカーブしていて死角ができていたりもします。
 列車も長い編成になると、それだけホーム上の死角がたくさんできます。それでは危険だということで、編成両数が増えるのに応じて、ホーム監視係が配置されるようになったのですが、今の鉄道会社は営利最優先で安全は顧みないので、監視係をことごとく合理化つまり廃止してしまいました。そろそろ旅客も慣れたから自分の安全くらい自分で守るだろうというわけです。車掌がマイクで「扉が閉まります」といえば大丈夫、運転士にもホームを見させれば大丈夫。そういう考えです。
 今の鉄道は、切符を買うのも改札を通るのもすべてセルフサービスで、ついでにセルフサービスで身の安全も守っていただかないといけません。旅客が負傷する事件が発生すると、会社は当該乗務員を処分して責任をとったことにしますが、それで負傷者の怪我が治るわけではありません。
 電車はその利便性と裏腹にひじょうに危険な乗り物であることを念頭に置いて、注意深く利用されることをお願いする次第です。

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