タイトル

お座敷列車

 とりあえず、床一面に畳を敷きましょか。座席は取り払って、座卓と座布団(あるいは座椅子)を2つ3つ置きます。乗車したらまず靴は脱いで下さいよ。上がりがまちの段差に気をつけましょう。え? 段差はなくせって? そんなふうにしたら、雨天時に雨水が入り放題ですよ。
 座卓の数が少ないのは、あまり気にしちゃいけません。あんなものは、雰囲気作りのための演出ですから。飲み物は持ち込み可ですが、フタのできるペットボトルに限らせていただきます。電車は揺れますからね。
 お座敷列車の醍醐味は、車内で宴会とかやらかすことではござらんのです。畳の上に寝そべってですね、列車の揺れに体を預けてゴロゴロ転がるのがいいんじゃないですか。長距離フェリーの2等客室のザコ寝みたいなもんです。貧乏くさいですね、今どき。
 たまには、リッチな気分なんか忘れて貧乏くささを満喫しましょう。貧乏リラクゼーションですってば。
 ちょっと足が当たったくらいで目くじら立ててはいけません。ゆずり合いと思いやりこそが貧乏の醍醐味です。
 誰です? 芸者呼べとか言ってるのは。舞子はんが踊る前に終点に着いちまいますって。長距離列車じゃないんだから。ドアは襖(ふすま)か障子がええって? そんなもん風圧で粉々に吹き飛んじまいますよ。屋形船じゃないんだから。
 お姉さん、座敷にスカートはダメですって。女性専用車両作れって? 女性同士でも事情は変わりませんって、他人様と同室なんですよ。
 子供たちがちょっとくらい駆け回ったって、そんなに恐い顔しないんですよ。今の都会暮らしは、子供たちが元気に駆け回る場所はあまり残ってないんですから。大丈夫です、壁面は柔らか設計ですから。じゃあオレも、なんて言わないでください、お父さん。あんたが転んだら周りが怪我します。
 いいですねぇ、子供たちの歓声。酔っ払いのじじいの怒号は滅びてほしいけれど、子供たちの声はBGMにしていつでも流してほしいくらいです。駅の売店に"子供の声CD"とか売ってないんですかねぇ?

 いかがです? 貧乏くささと他人への寛容を満喫しましたか。いいですね、おもろいですね、人間って。むかしを思い出しません? むかしはみんな貧しかったけど、心の豊かさがありましたよね。
 癒されましたね。それではスーツのえりを正して、殺伐とした現代社会のただ中へ舞い戻るがいいです。またのご乗車をお待ちしております。

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