タイトル

信頼関係の不在

 会社や上司が我々乗務員を陥れようとする職場に上下間の信頼関係などあるはずもなく、両者の関係は殺伐としています。とくに若い乗務員は、ワナにはまって将来を棒に振るようなことがないよう、上司の顔色を伺い、言葉を選んで話します。
 現場で我々と一緒に仕事してる助役たちは比較的人当たりも良く、乗務員とも笑顔で接することが多いのですが、現場に顔を出すことの少ない、係長・課長レベルの人間になると、乗務員に対して笑顔を向けることは少なく、話しを聞く姿勢もありません。言葉は上から下へ下ろすもの、彼らの中ではそう決まっているようです。
 ある時、筆者の運転する列車の運転台にたまたま添乗してきた課長に業務上の質問をしたところ、後日複数の係長クラスに取り囲まれ、不遜な行ないを中傷されました。
 そのような状態ですから、たとえば悩み事の相談などもってのほかです。上司に仕事上の、あるいは私生活の悩みなど話そうものなら、それは乗務員生活の危機に直結します。悩み事があるような人間に乗務は危なくてさせられないというわけです。
 上司には本音を話さない、それが乗務員として生き残るための鉄則です。
 労働組合や、社員の人権を擁護するためのコンプライアンス窓口も個人を救う機能はまったくありません。看板を上げているだけで、正規の仕事はしないのです。労働組合の役員はすべて会社が選定しますし、コンプライアンスシステムを牛耳るのも会社です。労働組合は多くの場合、現場職員のあら捜しをしてそれを上司に密告する秘密警察の役割をします。
 上下関係とは、信頼関係ではなく脅迫関係である、それが鉄道会社の実態なのです。
 この傾向がどんどん悪化しつつある職場では、考えられないようなミスが続発しています。出発監視中の車掌が列車から飛び降りてしまう、途中から別の列車に乗り換えてしまう……。JR福知山での脱線事故でも、目の前にカーブが迫っているのにブレーキ操作が遅れてしまうというミスが起きたわけですが、運転士の気持ちに余裕があれば、そんなに注意していなくても自然に手がブレーキを操作していたでしょう。車を運転していても目の前にカーブがあれば手が勝手にハンドルを操作するでしょ? 鉄道の現場に上下の脅迫関係がなければ、普通に考えてありえないようなミスは起きないはずです。
 鉄道の現場は、重大事故がいつ起きてもおかしくないという危機的状況に、依然としておかれたままですし、むしろ悪化しつつあります。

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